2014年5月アーカイブ

父が亡くなった後暫くして、消費者金融などから多額の負債(借金)がある事が分かり、戸惑いを隠せなかった事を昨日の事のように思い出します。
子供は私一人なので、残してくれた財産(わずかばかりの預貯金)を相続する予定だったのですが、負債がそれを上回る金額だったので、どうやって返済すれば良いのか、皆目見当がつかなかったからです。
私の子供も育ち盛りで、これから先教育費等でお金が掛かるものですから、途方に暮れていました。
とは言うものの、素人である私にはどうすれば良いのか分かりません。ですから、専門家に相談しよう、そう決意したのです。
インターネットで調べていくうちに、相続の分野に強い司法書士の存在を知り、藁にも縋る気持ちで、問い合わせてみました。
すると、相続放棄が出来る可能性を指摘されたのです。親切、丁寧な対応が気持ち良かったので、お任せする事にしました。
すると、意外な結果になりました。その司法書士は、債務の整理にも強みを持っており、相続放棄の手続きをする前提として、父の債務について全債権者に問い合わせ、調査をしてくれたようなのです。すると、そのうちの1社が利息に関する法律の上限金利を超える、いわゆる「グレーゾーン金利」での取引を行っていたようで、その会社に対して過払い金の請求をし、たくさんのお金を取り戻してくれたのです。
さらに、過払いが発生していない、法定上限金利以内での取引を行っていた金融会社についても、父が長期間返済を行っておらず、消滅時効が成立するための期間が経過しているということで、「時効援用通知」というものを代理人司法書士名での内容証明郵便で送ってくれました。すると、時効援用通知を受け取ったその会社は、もう私に対して今後は請求をしないと約束してくれたそうです。その確認も、司法書士が代理でやってくれたため、私は債権者とはまったく話をすることがなく、解決できました。
一人で悩みを抱え込んでいたら、相続放棄が出来る事すら思いつかなかったはずです。しかも、相続放棄はせず、過払い金返還請求と消滅時効の援用をしてもらったために、手続きの費用も過払い金から捻出することができ、手元にお金が残ることとなりました。そして、父が残してくれた預貯金についても、相続放棄をしていたら引き継ぐことができなかったのですが、相続放棄をしないで済んだため、引き継ぐことができました。わずかな金額ではありますが、せっかく父が遺してくれたものですから、受け取ることができて、本当によかったです。
専門家に相談して、本当に良かったです。相続放棄をはじめ、遺言等お金に纏わる悩みがある時こそ、専門家にアドバイスを受ける事をお勧めします。

相続放棄という言葉を聞くと、とても難しい感じがしますが、しなければならない場面というものは誰にでも出てくる可能性があります。
一般的に相続を放棄しなければならない場面は、亡くなった人と疎遠で、相続人であるという認識が全くなく、他の相続人と遺産分割の話し合いをしてまで相続財産を引き継ぎたいという希望がないような場合や、亡くなった人が借金を背負っていた場合などが多いでしょう。
私の親族にも借金を背負ったまま亡くなった人がいたので、身近に相続放棄に関する手続きを見る機会がありました。
借金などの理由で相続を放棄する場合、単純にその亡くなった人の子どもが放棄すれば終わりというわけではなく、その次順位の相続人である親や兄弟にも相続放棄をする必要性が出てきます。相続放棄の手続は相続開始を知ってから3ヶ月内にしなければいけませんが、次順位相続人の場合には、先順位の相続人が相続放棄をしたことを知ったときが、その3ヶ月の期限の始期となります。
放棄しなければ多額の負債というマイナスの遺産も相続しなくてはならないため、私の母が色々と調べて時間をかけて手続きを行っていました。
まず、家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出します。管轄となるのは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。その際の添付書類は、被相続人の住民票の除票、被相続人の除籍謄本や相続人の戸籍謄本、被相続人の負債についての債権者からの請求書などです。
これらの書類を添付して家庭裁判所に申述書を提出すると、1週間ほどで裁判所から申述書と回答書という書類が送られてきて、それには確かに自分の意思で相続放棄を申立てしたかどうかなどの質問に対して回答書を返送します。
手続きはこれで終了で、相続放棄申述受理通知書が送られてきました。
不動産登記の手続きなどでは、この通知書ではなく、相続放棄申述受理証明書という書類が必要となるため、裁判所で受理証明書の申請をして、相続放棄をしなかった相続人(相続登記を申請する相続人)にこの証明書を渡してあげる必要があります。